観光地として世界的に有名な水の都ベニスを擁するヴェネト州だが、ワイン関係者には毎年ヴィニタリーが開催されるヴェローナがなじみ深い。一般にはロミオとジュリエットの舞台になったところとして有名なところだ。毎年3000社近くもの出展があって5日間の会期中にはとても見きれないほど、そのスケールは大きい。
この地方でもっとも有名なワインはソアヴェとヴァルポリチェラであろう。いずれも軽めで値段も安く、毎日水代わりに飲むには最適のワインだ。特にソアヴェは、現在のように多種多様なイタリアワインが手にはいるようになる前には、イタリア白ワインの代表選手であった。さっぱりしているが、酸味がしっかりしているので和食の魚料理にはぴったりのワインだ。そんなところが、日本人の味覚によく合うのではないだろうか。暑い季節には欠かせない白ワインだ。
ヴァルポリチェラはヴェローナの町を流れるアディジェ川の北側丘陵地帯でつくられる。使用されるぶどうは、コルヴィーナ種、ロンディネッラ種、モリナーラ種の3種類がメイン。このワインは変なクセがないので、赤ワインをこれから飲んでみようという初心者におすすめのワインだ。慣れてくると、もう少しこくのあるものがいいとか、もう少し渋みのあるものがいい、となってきてワインのバラエティーが広がってくるものだ。このほか、ぶどうを陰干ししてつくる発泡性中甘口ワイン“レチョート・デッラ・ヴァルポリチェラ”や糖分を完全発酵させて苦みを含んでこくのある辛口赤ワイン“アマローネ”もこのあたりでつくられる。
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