カタルーニャ州を代表する産地がペネデスで、バルセロナの南約40キロメートルにあるビラフランカ・デル・ペネデスを中心に広がっています。
ローマ人の足跡が色濃く残り、古くから葡萄栽培とワイン造りが行われてきましたが、ペネデスといえば長い間、カバの中心的な産地としての方が有名でした。スティルワインの産地として生産が本格的になったのは1970年代に入ってからです。当時、この地方で造られていたランシオ(酸化させた)タイプに飽き飽きしていたトーレスなど一部の革新的な生産者が、新しいスタイルと高品質なワイン造りに挑戦を始めました。このため、スペインでいち早くステンレスタンクや温度調節装置を導入するなどの醸造所の近代化や低温発酵、酵母の改良、オークの新樽による発酵や熟成、瓶熟成の重視など、技術の革新をほかの産地に先駆けて行いました。また、葡萄畑では積極的に外来種や新栽培方法を取り入れるなど、さまざまな投資が行われました。
ペネデスの栽培面積は約27000ヘクタールで、生産量は多いときには約45000キロリットルに達します。気候条件によって、地中海沿岸の平野部に広がるバホ・ペネデス、平均海抜200メートルの中間部のメディオ・ペネデス、平均海抜700メートルの小高い内陸部のより涼しい地域ペネデス・スペリオルの3つのゾーンに分かれています。土壌は沿岸部では砂地で、高度が上に行くほど石灰岩が多くなり、全体に水はけの良い土壌です。気候は全体的に地中海性気候のため温暖ですが、高地の冬は厳しく、遅霜の危険性もあります。生産者はこの気候条件の特徴を利用して、各地域に一番合ったスペイン産や外来種の葡萄を栽培しています。それらの品種は、シャルドネ、シュナン・ブラン、ゲヴュルツトラミネール、マカベオ、モスカテル、パレリャーダ、リースリング、ソービニヨン・ブラン、チャレッロ(以上、白葡萄)。カベルネ・ソービニヨン、カベルネ・フラン、カリニェナ、ガルナッチャ、メルロ、モナストレル、ピノ・ノワールテンプラニーリョ(以上、黒葡萄)。
最近は酸味の生きたフルーティな味が好まれるので、シャルドネ、ピノ・ノワール、チャレッロ、テンプラニーリョの栽培が中心となっています。造られるワインは赤、白、ロゼとバラエティー豊かで、単一の品種から造られたり、あるいはブレンドされる場合もあります。ロゼと白ワインは若飲みタイプとして売られることが多く、赤ワインはオークの小樽で熟成されるのが一般的です。ペネデスのシャルドネは上質な上に、値段が手ごろなため好評です。また、テンプラニーリョとカベルネ・ソービニヨンの組み合わせによるブレンドは国際的な品質を誇っています。
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