ピレネー山脈からエブロ河沿いの渓谷まで、なだらかに波を打って広がる緑の草原、人影もまばらな大地に位置するナバーラ。その名前はバスク語で「山々に囲まれた平原」に由来するとも言われています。冬はピレネー山脈からの冷たい風が吹き、夏は暑くなり、乾燥した大陸性気候ですが、春と秋は温暖で、葡萄の生育には十分な降雨量があります。
ナバーラは、ロゼワインの産地から赤ワインの重要な産地へと大きく変わりました。
ナバーラの栽培面積は約14300ヘクタールで、北からバルディサルベ、ティエラ・エステーリャ、バハ・デ・モンターニャ、リベラ・アルタ、リベラ・バハの5地区に分かれています。葡萄品種は、テンプラニーリョ、ガルナッチャ、グラシアーノ、マスエロ、カベルネ・ソービニヨン、メルロ(以上黒葡萄)、ガルナッチャ・ブランカ、ビウラ、マルバシア、モスカテル、シャルドネ(以上白葡萄)です。
ナバーラは長い間、隣のリオハの名声の陰に隠れた存在で、ロゼワインの産地とみなされていました。そこで1980年代に、生産者たちは国際市場で認められる赤ワインを造ろうと、外来種を取り入れることを検討し、ナバーラ栽培・醸造研究所(EVENA)を中心に試験栽培・醸造の結果、これらの外来種が原産地呼称の認定品種に認められるようになりました。これまで栽培の主要な品種であったガルナッチャに代わり、テンプラニーリョやカベルネ・ソービニヨンの栽培が増え、また生産量の過半数を赤ワインが占めるようになっています。
固有種、外来種を問わずに、単一の品種表示のワインの販売も大きな成功を収めています。
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