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カバ


 カバと名乗るには、もちろん産地と葡萄品種が規定されていますが、さらに大事なことは、シャンパーニュと同じように瓶内第二次発酵によって造られ、一定の貯蔵年数を経て生まれるスパークリングワインであることです。
 カバの歴史は、カタルーニャ州ペネデスのワイン生産者ホセ・ラベントスが、シャンパーニュで学んだ技術と醸造機器を故郷に持ち帰ったことに始まります。彼はペネデス地方固有の品種を用いて、シャンパーニュの技術を応用し、1872年にカバを誕生させました。
 現在、カバのメーカーは約270社あり、年間販売量約2億本と、スパークリングワイン産業の規模としては、フランスに次いで世界第2位を占めています。
 原産地呼称制度の中では唯一、原産地がひとつには限られていません。DOで指定された産地はカタルーニャ、アラゴン、リオハ、バレンシアなどの州で、その栽培面積は合計33000ヘクタールです。しかし、スペイン全体で生産されるカバの95パーセントはカタルーニャ州産で、そのうち80パーセントがバルセロナの南西40キロにあるサン・サドゥルニ・デ・ノヤ近辺で生産されています。
 カタルーニャ州では、一般的にマカベオ、チャレッロ、パレリャーダの3種類の白葡萄を使います。シャルドネの使用も認められています。そのほかの地域では、マカベオが主体となります。また、ロゼのカバは赤ワインの原料となるモナストレル、ガルナッチャなどの黒葡萄品種が先の白葡萄品種のものと合わせて用いられたり、あるいは黒葡萄品種のみから造られます。ピノ・ノワールは最近、ロゼのカバにのみ使用を認められました。
 カタルーニャ州産カバのベースとなる品種の主な特徴は、次のようなものです。
 マカベオ(リオハではビウラと呼ぶ):非常にバランスの取れた酸を持ち、フレッシュでフルーティーなワインとなる品種。
 チャレッロ:カタルーニャ州原産の品種で、糖度に富み、豊かなボディのワインとなる。またブレンドすることで色とフレッシュさをカバに与える。
 パレリャーダ:高地ペネデスで栽培される。非常にフレッシュ、フルーティで上質なワイとなり、ブレンドによってカバにはつらつさと個性を与える。
 シャルドネ:単独または他の品種とのブレンドでカバが造られる。コクと豊かなアロマに特徴がある。

 カバの製造法は原酒(ワイン)を瓶に詰め、酵母と蔗糖を加えて王冠で栓をし、瓶内第二次発酵によって発泡(自然の炭酸ガス)を生じさせます。第二次発酵によって瓶内に生じた酵母などの沈殿物を、動瓶作業で瓶口に集め、それを瞬間的に凍らせ、瓶栓を開けて取り除く「口抜き」が行われます。規定ではこの間、最低9ヶ月の貯蔵熟成が義務付けられています。しかし、一般的には1年から2年、高級品では3年から4年の貯蔵熟成が行われています。長く熟成させるほどに泡が細やかに、安定したものとなり、香りや風味も立ちやすくなります。
 口抜きの際には、少量のリキュールが添加され、甘味の度合いが調整されます。このリキュールは通常、同じタイプのワインに蔗糖を混ぜたもので、その量によってカバの味わいは次のタイプに分類されます。

   エクストラ・ブルット・・・・・極辛口
   ブルット・・・・・・・・・・・辛口
   セミ・セコ・・・・・・・・・・やや甘口

 また、スペイン国内では、リキュールを全く、あるいはほとんど添加しない、非常に辛口のブルット・ナトゥーレが食前のアペリティフに好まれています。
 各メーカーのそれぞれのスタイルを反映した個性と高い品質をもつスパークリングワインのカバですが、価格は驚くほどリーズナブルで、コスト・パフォーマンスガ大きいのが特徴です。
 豊富な日照量のために酸度が心地よく抑えられた、はつらつとした飲み口と気軽に楽しめる価格のカバ。辛口は食前や食事に、そしてほんのりとした甘口はぜひデザートにあわせてみてください。