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トスカーナ


 ルネッサンスの中心地、フィレンツェや中世の町シエナ、斜塔で有名なピサの周辺でぶどうが栽培されている。世界でもっとも有名なワイン、キアンティの産地だ。1960年代、70年代に日本でイタリアワインというと、藁で包まれた丸っこいビンのキアンティワインの事だった。今では藁で包まれたボトルはほとんど見られなくなり、ビン形もボルドータイプに代わってしまって、少し寂しい気がするが。キアンティのワインは少し軽めで気軽に飲むにはちょうどいいワインだ。特に、おかずは魚だけど赤ワインが飲みたい、という時にはぴったりのワインといえる。ちなみに脂ののったマグロや鰯などには辛口の白ワインよりも酸味の多い軽い赤ワインの方が相性がいい。
 一方ではブルネロ・ディ・モンタルチーノやヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチァーノのように、長期熟成してはじめておいしさを発揮するしっかりとしたこくのあるワインもつくられている。このワインを初めて飲む人は、これがトスカーナのワインか?と驚くほどこくがあって重厚なワインだ。イタリアワインのコレクションには欠かせない一品である。
 ぶどうは、粘土質や石灰岩質に適しているサンジョヴェーゼ種が主で、その改良品種でブルネロやヴィーノ・ノビレの原料となるサンジョヴェーゼ・グロッソ種が栽培されている。