スペインワインといえばもっとも有名な生産地としてリオハをあげなければならない。リオハ地方はマドリッドから北へ約300q、フランスとの国境に横たわるピレネー山脈に近いエブロ川の両岸に広がる。納得できる価格で、それでいて高品質なワインを生み出すところだ。スペインの北部に位置するリオハは、夏は暑いところであるが、スペインにしては程々の暑さで、1999年8月中旬に訪問したときは、拍子抜けするほどしのぎやすいところだった。夜ともなると結構涼しくなるところだ。そういう気候だから、ぶどうに糖度が乗るだけでなく酸味もほど良くつくのだろう。リオハワインが美味しくなるわけだ。リオハの畑で特徴的なことは、株と株の間隔がボルドーやブルゴーニュに比べてかなり広く取ってあることだ。雨の少ないスペインで、水分とミネラルを一本の樹に十分に取り込むには最良の方法だ。
赤ワイン用のぶどうはスペインを代表するテンプラニージョ種がメインで、非常に繊細かつ香り高いワインを生み出す。このほか、ガルナチャ種、マスエロ種、グラシアノ種などが栽培されている。白ワイン用としてはビウラ種が主で、マルバシア種、ガルナチャ・ブランカ種などが栽培されている。リオハには約40種類の品種があるが、DOで認められているのはこれら7種類のみ。
リオハのワインはアメリカン・オーク(樫)の樽でじっくりと熟成させて、樽の香りをたっぷりとワインに取り込むのが特徴で、大のスペインワインファンにはこれがこたえられない。ワインは比較的軽めなので、毎晩飲むには最適のワインだ。値段も手頃だ。これからはリオハをはじめスペインワインを飲む人たちが、日本でも増えていくだろう。スペインワインはこれからが旬なのだ。
リオハは三つの地区に分けられ、エブロ川の北側にリオハ・アラベサ、川の南にリオハ・アルタ(一部北のアラベサの方に食い込んでいる地域があるが)、そして東側の流域にリオハ・バハがある。アルタとアラベサは、カンタブリア山脈に保護されているおかげで、湿った北風がさえぎられ温暖な大陸性気候である。一方リオハ・バハは地中海の影響で熱い風がエブロ川をさかのぼるため、暑く乾燥した気候である。年間日照時間は2800時間。
土壌はアラベサとアルタが泥灰土と岩屑土からできた石灰質の多い土地で、バハは褐色もしくは赤茶色の鉄分を含んだ粘土質が多い。
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