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リアス・バイシャス


 スペイン北西部にあるガリシア州は大西洋の影響を受け、雨の恵によって色濃い自然をもつ土地です。湾に深く切り込んだリアスが続く海岸線、緑に彩られた険しい山岳と渓谷の内陸部は、スペインのほかの地方とは異なる景観をもちます。リアスとはこの海岸線のこと、バイシャスとは下部という意味です。この地域の葡萄畑は湾を間近に望む丘陵地やミーニョ河に沿った渓谷などにありますが、細分化された小さな耕作地を有効に活用し、強い日照から葡萄を守り、また樹勢をコントロールするためにペルゴラと呼ばれる棚式で栽培が行われています。昔は収穫した葡萄のほとんどが自家消費用のワインとなっていましたが、1980年代に入って、農家を組合員とした協同組合が発足、彼らを中心にリアス・バイシャスのワイン革新が始まり、1988年には原産地呼称(DO)を獲得しました。
 バル・ド・サルネス、コンダード・ド・テア、オ・ロサル、ソトマヨールの4つのサブゾーンに分かれ、全体で約2000ヘクタールの栽培面積があり、そのうちの約90パーセントをアルバリーニョが占めています。この品種からは、清楚で上品な香り、生き生きとした果実味と心地よい酸味をもった白ワインが造られます。アルバリーニョ100パーセントで作られるワインはラベルの上にリアス・バイシャスの原産地呼称名とともにこの葡萄品種名も表示できます。このほかにも白葡萄のトレイシャドゥラ、ロウレイラ・ブランカ、カイニョ・ブランコ、トロンテスがあります。また幾つかの固有種の黒葡萄からごく少量の赤ワインが造られています。近代的な発想のもと、葡萄の徹底した品質管理、最新式の醸造機器と技術を導入して、フレッシュでフルーティーなスタイルのワイン造り、高級ワインとして販売するためのマーケティングなどが地域ぐるみで進められ、「スペインで最も上質な白ワインの産地」という名声を確立しました。とくにガリシア特産の魚貝類との相性がよく、「海のワイン」と称されています。近年、海外からも注目され、輸出も盛んになってきています。